N+I 99 Tokyo 報告

Last modified: Thu Jun 17 15:15:21 1999 +0900 (JST)


 NETWORLD + INTEROP (N+I) 99 Tokyo に参加したので報告する。

 N+I はコンファレンスと展示会が結合した、 世界でも最も大規模なネットワークイベントであるといえる。 N+I 自体は世界中で行われており、 日本では、例年 6 月ごろに千葉幕張メッセにおいて行われている。 今回は展示会を目的として参加した。

 会場内ネットワーク ShowNet においては、 WDM (Wavelength Division Multiplexing) を用いた 1Gbps を越える広帯域バックボーンが形成され、次世代 LAN を先取りしていた。 ただし、現状では WDM 機器の相互接続性はほとんどないようである。 今後の規格化などに期待したい。 一方で、近い将来重要な LAN 要素となると思われる QoS (Quality of Services: 帯域保証) や multicast については強く主張されていなかったように見える。 WDM などを用いた、十分な広帯域ネットワークが成立すれば、 その上でのリアルタイム高精細動画も現実となり、その時にこそ QoS や multicast 対応が強く主張されるだろう。 その時はもうすぐそこまで来ているように見えた。

 先年各社が競って公開していた Voice over IP (VoIP) については、SSD (Solution Showase Demonstration) において相互接続性がデモされていた。 VoIP もいよいよ現実性を帯びてきたといえよう。

[SSD VoIP 写真]
SSD VoIP コーナー

 Messaging Solution ブースにおいては、IMAP4 プロトコルを用いた、 各社の client/server の相互接続がデモされていた。 次世代メールプロトコルと言われて久しい IMAP4 だが、 大人数ユーザをサポートする高速 server と multi-plathome な client が揃いつつある。特に、Orangesoft が展示していた Java ベースの IMAP4 client 'Jerry' は、UNIX, MS Windows, MacOS が共存する理工学部ネットワーク環境においては重要な選択肢の一つとなると考える。

[Messaging Solution 写真] [Jerry 写真]
Messaging Solution ブース Jerry

 Security に関しては、多くの企業が IC カード指紋認証装置への対応をみせていた。 これらにおいては、一度 logon 時に認証を行えば、 あとは logoff するまで一切認証入力の必要がない機構が実現されていた。 ただし、IC カード自体が決して安くはない上、 認証システムのライセンス料もバカにならないことが導入に対するネックとなっている。 指紋認証装置も、今後より広まると思われる Note PC などを利用したモバイルコンピューティング環境においては、 利用が難しいと考える。

[ソリトン IC Card 写真] [SONY FIU7000 写真]
IC カード SONY 指紋認証装置

 また、当初は SSD で VPN (Virtual Private Network) の相互接続デモが行われるはずだった (古い N+I パンフレットにはこの記述がある) が、実際には行われていない。 これは、現実世界の VPN 実装において、 相互接続性にはまだまだ問題があることを示すと考える。 具体的には、たとえはヤマハのルータにおける IPsec 実装は、他ベンダーとの相互接続性に問題があるという。 製品選択には注意が必要だ。

[YAMAHA 写真]
ヤマハ ルータ

 ATM は本当に影が薄くなった。「ATM 工房」と題して ATM 製品群が一同に会していたが、 もはや世の中は Gigabit Ethernet や IP over SONET/SDH など、 非 ATM ベースで動いているように思える。 ATM は、NTT の ATM メガリンクに代表される WAN プロトコルとしてはしばらく生き残って行くだろうが、 その後がないように思う。

 その Gigabit Ethernet の普及・低価格化はすさまじく、今年は NETGEAR や Planex といった low-end のベンダからも対応製品が展示されていた。 たった 2 年前に登場したばかりなのだが、すでに Gigabit Ethernet はあたりまえの存在になってしまった。 この現実に対応するためにも、 WDM などを用いた広帯域バックボーンが必要とされている。

[PCI Giga Ether Switch 写真]
Planex Gigabit Ethernet 対応製品

 最後に: AMP や FLUKE など layer1 関連企業のブースでは 「カテゴリー 6 対応」 という文字を見かけた。現在一般的なカテゴリー 5 ケーブルの後継だが、 実際にはカテゴリー 6 という規格はまだ制定されていない。しかし、 metal 線による Gigabit Ethernet 規格には、 これまで言われてきたカテゴリー 5 ではなくカテゴリー 6 対応のケーブルが必要とされていると言われており、 今後のネットワーク敷設においては注意する必要がある。

[AMP Cat6 写真]
AMP カテゴリー 6 コーナー

 以上。


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